我が家の猫「ひのき」との運命の出会い

4年前、永源寺の人里離れた山奥で、一匹の猫と出会いました。

その場所は、60年以上前に消えた集落の跡地。

よりによって――小杉家の住居跡の真ん前に、その猫はいました。

最初は車に驚いて「フーッ!!」と威嚇してきましたが、

エンジンを止めると、そっと近づいてきたのです。

そして目にした光景に、息をのみました。

その猫は車に轢かれ、骨盤骨折、後ろ足は脱臼、前足の指や手のひらの一部はちぎれて化膿し、

尻尾も曲がっていました。

ガリガリに痩せて、泥まみれで――でも、

私にはその猫からものすごい生命力と強いエネルギーを感じました。

「この子、生きる力がすごい」

体中に電流が走るように、そう感じたのを覚えています。

そしてその猫は、必死に夫にすがりつき、まるで土下座をするように「助けて!」と泣いていました。

猫でも、通りすがりの人間に命をかけて助けを求める。

その姿に、涙が止まりませんでした。

――ならば、人間ももっと「助けて」と言っていい。

日本人は我慢を美徳として育ってきたけれど、

もうそんな時代ではない。

互いに支え合ってこそ、生きることができる。

山の木々も、草花も、動物も、人も、

みんな命を分け合いながら生きている。

「助けて」って言っていい。

生きるために、助けを求めていいんです。

命は、何よりも尊い。

私たちは皆、お空と大地、愛と光に包まれて生まれてきた。

幸せになるために生まれてきた、唯一無二の存在です。

お医者さまに「もう無理だ」と言われ、

最初は治療すら受けられませんでした。

保護範囲を超えていると言われ、途方に暮れました。

でも、私も「助けて」と言いました。

あちこちに相談し、支えてくれる人たちに出会い、

たくさんの愛と祈りの中で、猫は奇跡の回復を遂げました。

今では我が家の大切な家族として、元気に走り回っています。

お正月飾りのヒノキを採取しに行ったその山で出会ったことから、

その猫を「ひのき」と名付けました。

ひのきは、諦めませんでした。

そして、「助けて」と言いました。

だから、あなたもどうか――

助けてって言ってね。

みんな、あなたのそばにいます。

奇跡は起きる。私はそれを、この目で見ました。

ありがとう。

命の奇跡を教えてくれた「ひのき」に、心からの感謝を込めて。